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コト2021.04.28

キーポイントサマリー診察室のデザインがコミュニケーション、情報通信技術利用、満足度に与える影響の調査 

目的:
本調査研究は、部屋のデザイン、設備配置、技術品目の配置が、患者、患者家族、医師のコミュニケーション行動や満足度に影響するか調査することを目的とします。

Zamani, Z., Harper, E. C., 2019 HERD Health Environments: Research & Design Journal Volume 12, Issue 4. Page 99-115

キーコンセプト/コンテキスト
診察室での電子カルテの使用は一般的になされていますが、電子カルテが診察に与える影響を評価する研究には実に様々なものがあります。ヘルスケアデザインについての研究はまだ限定的なものの、情報共有を改善することにより、診察室のレイアウトが患者と医療提供者の間の相互作用に影響を与えることがわかっています。本研究の著者は、様々な診察室レイアウトを評価し、会話、アイコンタクト、電子カルテ記入を助けるようなスクリーン共有、診察/相談テーブル、椅子の好ましいレイアウトを明らかにします。

手法
混合手法によるアプローチでは、4種類の異なる実物大診察室模型を使用して診察場面のシミュレーションを行いました。研究者が定義した模型レイアウトは、「セミ・インクルーシブ」(半共有型:医師がスクリーンをコントロールし、スクリーンを回転させたり、患者の向きを変えさせたり患者を移動させたりしてスクリーンを共有する)レイアウト、「エクスクルーシブ」(排除型:患者はスクリーンを見ることができない)レイアウト、「インクルーシブ」(共有型:医師と患者がコンピュータスクリーンを共有する)レイアウトです。合計128セッションを実施し、患者22人(高齢者と小児、一部俳優)、患者家族28人(一部俳優)、医師59人が参加し、いずれかの診察室に無作為に割り当てられました。 診察シミュレーション時、ビデオカメラで行動を撮影し、シミュレーション後、参加者に満足度調査を実施しました(7段階評価、自由回答質問)。質問は、診察のフェーズ(問診、診断/教育照会、情報収集、診察)、医師との口頭でのコミュニケーション、視覚的コミュニケーション(モニタ確認)、診察室の特徴(モニタ、テーブル、椅子など)の満足度に関するものでした。ビデオの撮影内容は、視線、会話、医師の電子カルテ記入の時間や頻度についてコード化しました。この3種類のアクティビティのコード化は3つのカテゴリ、すなわち、診察シミュレーション時の各アクティビティの持続時間、セグメント(各アクティビティの開始と停止)数、各アクティビティの合計時間に分類しました。記述統計と一元配置分散分析および事後解析を実施し、異なるレイアウトによる有意な相違を評価し、自由回答質問については定性分析しました。

結果
「インクルーシブ」レイアウトは、2つの「セミ・インクルーシブ」レイアウトに比べて平均アクティビティ時間が長くなりました。「セミ・インクルーシブ」レイアウトはすべてのその他のルームタイプに比べて電子カルテ作業時間が長くなりました。参加者全員「エクスクルーシブ」レイアウトに対して最低満足度を示しましたが、時に、参加者の立場により診察室の特徴のとらえ方は異なりました。

  • コンピュータと壁面設置モニタに対する医師の満足度は「インクルーシブ」、「エクスクルーシブ」レイアウトともに最低となりましたが、「エクスクルーシブ」レイアウトの診察テーブルは、診察のためのスペース、患者や家族用の椅子からの距離、入室時アイコンタクトの機会などの点で満足とされました。
  • 医師にとっては、「インクルーシブ」レイアウトでは電子カルテを記入しながらアイコンタクトを維持できる点で、非常に満足できるということでした。
  • メディカルアシスタントは、「エクスクルーシブ」レイアウトではコンピュータと壁面設置モニタの満足度が最低になりました。
  • 家族は、「エクスクルーシブ」レイアウトに比べて、「インクルーシブ」レイアウトではモニタ上で情報共有できることに満足を示しました。「エクスクルーシブ」レイアウトは、全タイプの中で、視覚的情報確認、壁面設置モニタ、診察テーブル位置について満足度が最低となりました。
  • 患者は、情報共有、視覚的情報確認、コンピュータと壁面設置モニタ、診察テーブル位置について「エクスクルーシブ」レイアウトの満足度が最低になりました。
  • 壁面設置モニタを複数設置することにより情報共有は促進されますが、患者によっては、壁面設置モニタによる情報共有は必要なく余計ととらえる場合があり、医師はプライバシー侵害の可能性に懸念を示しました。 コミュニケーションに関する患者満足度に有意に関連する要素は、「エクスクルーシブ」レイアウトの医師のワークステーション、「インクルーシブ」レイアウトの壁面設置モニタと情報共有、「セミ・インクルーシブ」レイアウトのひとつが示したワークステーションと情報確認のコンビネーション形態でした。コミュニケーションに関する患者家族の満足度に有意に関連する要素は、「インクルーシブ」レイアウトの医師ワークステーションと壁面設置モニタ、「セミ・インクルーシブ」レイアウトのひとつが示すワークステーションと情報確認のコンビネーション形態、別の「セミ・インクルーシブ」レイアウトが示すモニタ上の情報共有でした。

限界
組織方針に抵触することから、参加者に関する人口統計学的情報を収集することはできませんでした。したがって、異なる参加者タイプ間の差異を評価することはできませんでした。シナリオを作成、使用したことで、アクティビティの時間、頻度の観察結果に影響が出たかもしれず、また臨床専門分野が違えば異なる結果が出るかもしれません。リソースに制約があったことで、コード化対象のビデオ数、他のデザインタイプの開発に影響しました。結果に基づき、著者は「理想的な」デザインを提案していますが、このデザインはテストされていないことに留意ください。

デザインの意味
コンピュータモニタと壁面設置スクリーンは、外来患者診察時、情報共有のために積極的に活用すべきです。診察テーブル、医師ワークステーション、家族用の椅子、壁面設置モニタをそれぞれ向かい合うように配置すると、顔を見ながらのコミュニケーション、アイコンタクト、電子カルテのデータ入力が容易になります。加えて、診察室設備、プライバシーカーテン、ドアなどの互いの距離、向きも、快適性やプライバシーの要因であることがわかりました。

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