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コト2021.12.13

キーポイントサマリー病室内植物が手術後の回復に及ぼす治療上の影響

目的:
本研究は、手術後の患者に植物のある環境で過ごしてもらうことで、回復速度や全体的なストレスレベルに影響があるのか調査するものです。

Park, S-H., Mattson, R. H., 2009 HortScience. Volume-44, Issue 1, Pages 102-105

キーコンセプト/コンテキスト
どのような背景の患者であっても、外科的処置により強い不安が引き起こされます。過去の研究から、ストレスや不安が増すことにより、手術後の回復過程に悪影響が及ぶことが十分にわかっています。植物などの自然なものに視覚的・物理的に触れることがストレス軽減に関係しているとされていますが、これは麻酔剤や鎮静剤を繰り返し使用するより現実的で有効な選択肢になるかもしれません。自然に触れることが手術後の回復にとってどれほど効果的であるかについては、さらなる研究が必要です。

手法
本研究は、1年間にわたり、809床の郊外の病院で、女性患者80人を対象に実施されました。研究参加者はすべて甲状腺切除手術を受けた患者です。患者は、植物を置いた、あるいは置いていない、個室あるいは6人収容の合計4種類の病室のいずれかにランダムに割り付けられ、植物あり・なしの2つのグループの個室と6人部屋は同数としました。すべての病室の窓からは空しか見えず、植物は見えませんでした。すべての患者のバイタルサインは入院期間を通して測定されました。不安あるいは疲労感に関するすべてのアンケート調査票は手術後に手渡されました。

図1 2つの病室のトリートメントの写真。(A)植物なし、(B)葉っぱと花のある植物。同じフロア、同じ面にある病室は、植物の有無以外は同じでした。また、各部屋で使用されている植物の組み合わせも同じでした。B室には、アローヘッドバイン、クレタンブレーキシダ、ヴァリエーションビンカ、イエロースタージャスミンの単品植物に、デンドロビウム、ピースリリー、ゴールデンポトス、ケンチャヤシの各2株が配置されていました。
(出典:Park, S-H., Mattson, R. H., 2009 HortScience. Volume-44, Issue 1, Page 103)

結果
植物のある部屋の患者は、植物のない部屋の患者に比べて、入院日数が有意に短くなりました(植物ありの場合の平均6.08日間、植物なしの場合の平均6.39日間)。植物のある部屋の患者は、手術後投薬が少なくすみました。2つの患者グループの間でバイタルサインの有意差は認められませんでした。手術5日後、植物のある部屋の患者の疲労感は、植物のない部屋の患者に比べて、有意に低くなりました。

図2 対照(C)群と植物(P)群(1群40名の甲状腺切除術を受ける女性患者)の術後鎮痛薬摂取量を比較した。鎮痛剤は、薬剤の量、経口投与か注射かで、弱い、中等度、強いに分類した。DS-1、D2-3、D4-5は、それぞれ手術日と術後1日目、術後2日目から3日目、術後4日目から5日目を示す。D4-5に鎮痛剤を投与していない患者や、D5に退院した患者もいた。アスタリスクはP < 0.05での有意性を示す(対照との比較)。
(出典:Park, S-H., Mattson, R. H., 2009 HortScience. Volume-44, Issue 1, Page 104)

限界
本研究は、1つの医療機関、かつ、同種の患者集団で実施されました。どんな種類の植物が不安や疲労感の軽減により有効かは十分には調査されていません。植物を置くこと、管理することに対するスタッフの考えも調査されていません。

デザインの意味
自然を目にすること(特に室内あるいは屋外の植物)は、患者の入院日数、不安、疲労感、投薬量を有意に減少させることと関係します。設計者が病室やその他の医療空間を設計するにあたり、室内に植物を置くことや、可能であれば屋外の木々が見えるようにすることも選択肢になり得ます。

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