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コト2022.01.14

キーポイントサマリーPET/CT患者の不安を軽減するための介入措置として、PET画像撮影前の18F-FDG注入/安静時に視聴覚設備を使用する

目的:
本研究は、患者不安を軽減し、体内18F-FDGの偽陽性集積を回避するための手段として、PET薬剤注入/安静室における視聴覚設備の使用について調査しました。

Vogel, W. V., Valdés Olmos, R. A., Tijs, T. J. W., Gillies, M. F., van Elswijk, G., Vogt, J., 2012 Journal of Nuclear Medicine Technology. Volume 40, Issue 2, Page 92-98

キーコンセプト/コンテキスト
PET(陽電子放出断層撮影)は生体の機能的動態を画像撮影する手法です。PET検査を受ける多くの患者が処置中に大きな不安を経験します。患者の不安が大きいと、病院検査のワークフローにも患者の経験全般にも影響し、18F-FDGが正しく集積されず偽陽性になることもあります。18F-FDGは、画像撮影のために患者に注射投与され、PET撮像装置により検出される、PET検査に必須のバイオマーカーです。18F-FDGの集積は筋肉と褐色脂肪細胞(BAT)の両方で起こります。これらの組織への18F-FDGの集積により、画像の質が悪くなり、医学的診断に支障が出たり、PET検査全体が困難になったりすることさえあります。PET検査を受ける患者の不安を軽減するために薬剤を使うという議論がきっかけとなり、PET検査の際に薬剤注入やその後の安静に用いる部屋(以下安静室とします)に視聴覚設備などの非薬理学的介入を模索する動きが出ています。過去の研究からは、室内温度もBATへの18F-FDG集積に影響する場合があることがわかっていますが、安静室の最適温度についてはまだわかっていません。

手法
本研究は、オランダのがんセンターで連続した2段階で実施されました。第1段階では、非薬理学的介入(安静室に視聴覚設備を設置)による有効性を調べるため、患者をモニターしました。第2段階では、一部の測定値について、患者の不安と18F-FDG集積をさらに定量調査しました。

  • 外来患者101人が参加し、35人が第1段階に、66人が第2段階に参加、49%が男性、51%が女性でした。年齢は18~81歳で、中央値は58歳でした。59%が以前にPET検査に来たことがあり、41%は今回が初めてのPET検査でした。
  • 患者は、視聴覚設備のある部屋とない部屋にランダムに割り付けられました。
  • 合計51人が非薬理学的介入を経験し、うち15人が第1段階、36人が第2段階でした。
  • 合計50人が視聴覚施設を経験せず、うち20人が第1段階、30人が第2段階でした。
  • PET検査を受ける患者用に安静室が3室用意され、広さ約3×3メートルで、それぞれに標準的な病院ベッドが備え付けられました。
  • 安静室3室のうち1室が非薬理学的介入に使用され、患者ベッド上方の47インチテレビ画面に自然の景色が映され、電子音による環境音楽が静かに流れ、単色あるいはカラーのリムライトがテレビ画面の色に合わせてゆっくり調節されました。テレビ画面横には、18F-FDGを注射する医師用の明かりが用意されました。介入処置は、2分間の視聴覚設備の説明に始まり、18F-FDGを投与する「注入」モード、患者が30分間安静に過ごす「超低刺激」モード、その後患者がリラックスするための30分間の「低刺激」モードと続き、PET画像撮影に入りました。すべてのパラメータは、コントロールパネルを操作する技師により室外からコントロールされました。
  • 視聴覚設備を経験しない患者は通常の安静室2室のいずれかに収容されました。
    不安の評価は、患者に対して薬剤注入/安静時間前後に8項目の状態・特性不安検査(STAI)のアンケート調査を実施しました。1問2ポイントとし、16ポイントは不安が最大であることを示します。
  • 心拍数、筋活動、皮膚コンダクタンス、唾液コルチゾール測定値などの生理学的パラメータを測定し、患者の不安の影響や18F-FDG集積をさらに定量化しました。これらのパラメータはいずれもSTAIテスト結果と有意に相関しなかったため、これらの測定値は患者の不安を表す有効なデータとしては使用しませんでした。
図1 (左)視聴覚機器を設置していない取込室(コントロール)。(右)視聴覚機器を設置した取込室(介入)。
(出典:Vogel, W. V., Valdés Olmos, R. A., Tijs, T. J. W., Gillies, M. F., van Elswijk, G., Vogt, J., 2012 Journal of Nuclear Medicine Technology. Volume 40, Issue 2, Page 94)
  • 18F-FDG集積はコンセンサスを得て視覚的に評価され、コホート間の18F-FDG集積の有無の比率比較により分析されました。
  • BATの18F-FDG集積に影響すると考えられているため、屋外温度は不快要因として調査されました。PET検査当日の屋外平均温度は、最寄りの測定場所で遡及的に分析されました。
  • 視聴覚設備を備えた室内および2室の対照室のうち1室の温度は、臨床試験実施後数週間、10営業日にわたり測定されたため、対照群はありません。両室とも、ドアから同じ距離の天井近くの地点で測定されました。

結果
臨床試験参加者の59%が大きな不安を感じながら安静室に入り、多くの参加者の画像で、筋肉とBATに望ましくない18F-FDG集積を認めました。STAIテスト結果によれば、視聴覚設備は患者の不安を有意に軽減しました。非薬理学的介入を経験した患者はまた、BATの18F-FDG集積が有意に少なくなりました。視聴覚刺激を受けた後、患者の不安が軽減され、PET画像の質が改善されることを考えると、不安を抑えるための薬理学的手段の代替あるいは補助として、非薬理学的介入を使用できる可能性があります。安静室の室内温度以上に、屋外温度がBAT集積に大きな影響を及ぼすことが確認されました。

図2  対照群と介入群を含むコホート全体の取り込み期間中の不安と生理の変化。SE 5 個人内差のSE。
(出典:Vogel, W. V., Valdés Olmos, R. A., Tijs, T. J. W., Gillies, M. F., van Elswijk, G., Vogt, J., 2012 Journal of Nuclear Medicine Technology. Volume 40, Issue 2, Page 96)
図3 介入は患者の不安感を有意に低下させる。
(出典:Vogel, W. V., Valdés Olmos, R. A., Tijs, T. J. W., Gillies, M. F., van Elswijk, G., Vogt, J., 2012 Journal of Nuclear Medicine Technology. Volume 40, Issue 2, Page 97)

限界
著者らが考える本研究の限界は次のようなものです。臨床試験のマスキングは十分ではありませんでした。すなわち、介入グループの患者は、以前のPET検査の際には視聴覚設備のある部屋で過ごしていた可能性があります。またビデオ、オーディオ、照明が個別に分析されれば、視聴覚設備の有効性や質はよりよく評価、最適化されると思われます。皮膚温度、測定日の室内温度、毛布の使用、正確な屋外温度、PET施設までの交通手段、待合室で過ごした時間など、複数の想定される交絡因子を考慮する余地も考えられます。

デザインの意味
安静室に最適な視聴覚設備の構成には、様々な設計要因を考慮することができます。テレビ画面のサイズと配置、音楽の選曲と音量、照明の強さと配置、ベッドの寝心地、部屋の広さ、建築学的美観全般、室内温度など、すべてを考慮すべきです。待合室やその他適切な範囲にまでリラックス空間を広げ、PET検査前後の不安をさらに軽減するための措置をとることも可能と思われます。

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